オーディオ研究(22)オーディオと音楽

オーディオ研究

昔から気が付いていることなのですが、自分でも不思議に思うことがあります。それは、自分が慣れ親しんだ楽器の演奏を聴くとき、その音質にはまったく関心がないということです。

反対に自分ではできない管弦楽とかジャズトリオとかではいい音質を求めてしまいます。もっとも名演と言われるようなものに接すると音質のことは忘れてしまいますけどね。

つまり音を聴いているのか音楽を聴いているのか、その違いなのかも知れません。オーディオマニアを自認する私ですから、いい音楽を聴いていても、ふと音に注意が行ってしまうことがあります。いい音を聴くのは楽しいことですが、必ずしも音楽鑑賞に必須のものではないような気がします。

そんなことを考えさせてくれたのは、例のONKYO OM-OF 101の存在です。「伝えたいのは音質ではなく音楽の本質」というキャッチフレーズの意味が少し理解できたような気がします。

はっきり言って、ONKYO OM-OF 101はその音質をとやかく言うべき対象ではないと思います。音楽鑑賞に必要なものはちゃんと表現されているではありませんか。そこに音質という概念を持ち込む方が邪念にすら思えます。

しかし、高音質をうたわなくなったオーディオメーカーってファンションブランドが機能性重視を言うようなものじゃないの?自己否定にもみえてしまうような。

音楽が表現されればいい?では、演奏者はどうしていい楽器を求めるの?どうしていいホールやスタジオで演奏したがるの?良質な録音を求めるアーティストも多いですよ。

いい音でいい演奏を聴きたい、これが自然だと思います。その点では私はヘッドフォンは嫌いです。音質はいいのですが、頭の奥で音が鳴るし、不自然に感じます。

今回のONKYO OM-OF 101が、ヘッドフォン利用者に対して、スピーカーから流れる音楽を聴くという喜びを改めて感じてもらえればと思います。

どうして日本のオーディオメーカーは衰退しているのでしょう?オーディオブームがあってその後の経営戦略で失敗したのでしょうか?外国をみるとまだまだ元気に新製品を開発しているオーディオメーカーが多数あるようにみえます。B&W、Dali、Focal、JBLなどなど。

音を出して聴くというのは狭い日本では贅沢なことなのかも知れません。近年ではIT長者が増えたせいか、ハイエンド機器が売れているようです。スーパーカーが買えそうな値段のスピーカー、百万円以上のDAC、やれやれ困ったものです。

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