オーディオ遍歴(08)カートリッジ

オーディオ遍歴

カートリッジというのは、厳密にはフォノカートリッジと呼ぶべきものです。レコードを再生する際に使うレコード針とそれを支えるボディの部分を指しています。

私のレコード再生はセラミックカートリッジという原始的なもので始まりましたが、オーディオの世界に入ると本格的なカートリッジにはMM型とMC型の二通りあるということを知りました。もちろんダイアモンド針装着です。

レコード盤から音の信号を拾うためには磁石とコイルが必要です。そのどちらかが動くことによって発電され、それが音楽信号になります。MM型はムービングマグネットですから磁石が動きます。MC型はムービングコイルですからコイルの方が動きます。

MC型はコイルが動く構造なので発電量が小さくなります。ですから電圧の増幅のために昇圧トランスや専用のヘッドアンプが必要になります。ということで一般的には発電量の大きいMM型が普及していると言えるでしょう。

では、音質の観点からはどうでしょうか。思い磁石が動くよりは比較的軽いコイルが動いた方が物理的には敏感に思えます。実際、MC型の方が解像度が高いと私は考えています。

レコードプレーヤー購入時には付属のカートリッジで音楽を再生していましたが、やがて物足りなくなってきます。そこでカートリッジの交換という運びになり、当時有名だった品川無線のMM型のグレースF-8というものを購入しました。カートリッジを交換するとそれまで聴いていたものが格段に良くなりました。これがオーディオの魅力というか泥沼の始まりというか、さらなる世界への序曲となるのでした。

NHKのFM放送で使っているカートリッジがMC型のDENON103であると知ってからは、俄然MC型カートリッジに興味が湧きました。幸い使っていたプリメインアンプにヘッドアンプが内蔵されていたので昇圧トランスの導入は避けられました。実際に聴いてみると、確かにMC型カートリッジの解像度は優れていると実感したものです。

欲は欲を呼びます。その後、OrtofonMC20に変更して長い期間使用して来ました。MC型カートリッジの場合、針交換は自分でできません。メーカーに送るなどして対応しないといけません。これも普及の邪魔になった可能性はあります。でも、オーディオマニアはそんなことは苦にしません。

しかし、考えてみるとダイアモンド針の寿命は3000時間とも5000時間とも言われます。果たして針交換する一般ユーザーなんているのでしょうか。毎日1時間聴いても10年くらい持つじゃないですか、その時点になればもっといい製品が出ているというもの。針交換なんて無視してもいいんじゃないかと考えています。

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