野心の向かう先は、オーディオシステムのアップグレードにとどまりませんでした。専用のリスニングルームを考え始めたのでした。これはオーディオシステムの比にならないほどの費用がかかります。
折しも親が家の増築を計画していたので、これ幸いに、結婚相手がピアノを持ってくるし、これからの時代は騒音公害に対して厳しくなると説明して、10畳間を自由に設計していいという了解を得ました。本当にありがたいことでした。そして今でもこの部屋は音楽室と呼ばれ、ホームシアターとしても重宝されています。
音楽室は浮き構造とはいかないものの二重構造を持ち、天井には傾斜がつけられました。内部の音響効果だけでなく防音対策もしなければなりません。結果、壁厚は30cmくらいになり、サッシも二重にしました。当時エアタイト型のサッシはありましたが、とても効果で導入はあきらめました。出入口のドアは、分厚く二重になっています。防音効果は敷地境界で20dB以上の減衰は得られたと思います。
当時増築を担当した大工さんは音響に対する知識が全然なかったので、すべてこちらの指示通りに作っていただけました。スピーカー側の床にはピアノも置くので地面からコンクリート打って床面と同じ高さにしました。
オーディオラックも大工さんの手作りで、オーディオシステム、レコード、CD、本などを収納できる大きくて頑丈なものです。壁材の共振を避けるため間仕切りも不等間隔にするなど大工さんにはいい仕事していただけました。感謝、感謝です。
実際に音を出してみて気が付いた設計ミスは二つあります。低音を天井に逃がす設計にしたため、二階の部屋での防音が不十分でした。音楽室にいれば二階には人はいないだろうと考えたための失敗です。家族ができることの計算ができなかったという訳です。今でもこの問題は解決されていません。
二つ目はスピーカー側の壁で、当初は吸音構造にしていました。反対側が全面ガラスサッシなので吸音が必要と考えたからです。結果は失敗でした。やはりスピーカー側の壁は反射構造がいいようです。この壁は後日自分で厚いベニア合板を貼り付けました。反対側は分厚いカーテンで吸音を図ることにしました。
今日に至るまで部屋の音響特性の改善は大きなテーマになっています。ピアノがあるのが頭の痛いところで、定在波の緩和には少し役に立ちそうですが、悪影響の方が大きいような気がします。ピアノの周辺に吸音材を配置したり、スピーカーの左右の壁には平面反射をなくすなどの工夫をしています。
コメント