オーディオ遍歴(03)スピーカー自作

オーディオ遍歴

野心というのは、より大きなスピーカーシステムがほしいという願望から来ていました。しかし、JBLやアルテックなどの大型スピーカーを買えるほどの経済的余裕は学生の私にはあるはずもありません。

そこでスピーカーシステムを自作しようという発想にたどり着いたのです。発売されているスピーカーユニットを調べ、オンキョーというメーカーからセプターシリーズというのがあると知りました。私が狙ったのは、なんと38cmウーファーを含む3way構成でした。

ユニット自体も高価なものだったので、はじめの一歩はウーファーとスコーカーだけで製作に取り掛かりました。エンクロージャーは28mmのベニア合板とし、仕上げは化粧合板を貼り付けることにしました。下宿の近くの製材所に行ってベニア合板を切断してもらい、その後はすべて手作業です。

当時、電動工具なんて身近にはありませんからかなりの肉体労働になったものです。木ネジ(今ではビスというのかな。)も9cmくらいだったと記憶しています。手動のドリルで穴を開け、素手でネジ回しを使うのですからもう今では考えられない力仕事でした。

周囲からは卒業製作だとからかわれたものです。3way用のネットワークは当時パイオニアから発売されていました。アッテネーターの付いたものでちょうど都合のいいパーツでした。半年以上遅れて、最終的にはツイーターをつけて完成しました。

完成したスピーカーシステムとレコードプレーヤー、アンプを大学祭に持ち込み、オーディオ・コンサートと称してイベントを主催することにしました。周囲の仲間の協力を得て、手作り珈琲付きのチケットを販売したのでかなりの収益が出たものです。もちろん、そのお金は協力してくれた仲間たちと一緒の会食で使ってしまいました。

200人くらい入る大きな教室を会場にしたので、音量が足りるか心配しましたが、コンクリートの部屋なので音質はともかく、音量不足をいう事態にはなりませんでした。プログラムは、ビートルズ、井上陽水、クラシックで3日間のイベントになりました。

実は、オーディオに対する野心はこれが序の口でした。

コメント